2019.6.17月曜日
少年部稽古の時間前に三階にある道場の窓から、子供達が道場へやってくる姿を眺める事があります。
自転車で来る子。
歩いてくる子。
様々です。
随分と前のことですがスマホや漫画を読みながら歩いてくる子をもいました。
近年定期的に不幸な事件が起こります。
とても恐ろしい事で人ごとではありません。
道場生にもしものことがあったらと思うと不安になります。
去年の事。
少年部の稽古終わりに保護者の方から駅のそばに不審者がいるとの報告があり、この時は黒帯の先輩と道場生とで手分けして少年部に付き添い帰路を送りました。
事前に分かっていればこの様な対処の方法もありますがとっさの時はどうすれば良いのか?
少年部稽古では定期的に身を守る方法について話をします。
様子のおかしい人が来たらどうする?
子供達に質問をします。
帯が上の先輩は何度も聞いて答えを知っているので白帯、オレンジ帯の初心者に聞いてみます。
ほとんどの子供が逃げると答えます。
これは正解です。
そこで、気がつくのが遅れて逃げられなかったら?
聞いてみます。
考え込んでしまいます。
子供達が答えられないのも当たり前です。
逃げられず攻撃をされてしまっては大人でも答えはありません。
大切なのは攻撃の始まるその前です。
稽古では常に視野を広げて前を見る、姿勢を正して気を張り、直ぐに動ける心と体にしておく。
こう教えます。
空手の内面の教えは日常で活かさなければ意味がありません。
気を張り油断の無い心を持ちながら、日常に溶け込み周りと調和する。
危険があればいち早く察知する。
危険を感じたら直ぐに身を躱す。
興味本位に危険に近づくなどは絶対にあってはなりません。
危険をいち早く察知する能力を身に付けるのは稽古で大切な事です。
武道では先を読む目と心。
気づくのが遅れる、気づいても動かない。
数秒の遅れが手遅れになる状況を生みます。
稽古を正しく積めば冒頭で書いた漫画を読みながら歩いたり、歩きスマホの怖さが分かるはずです。
子供達には伸び伸びと何の心配もなく過ごしてもらいたいです。
しかし近頃の事件を見ると自分の身は自身で守ることを、深く考えさせ教えなくてはなりません。
空手では相手を倒す為の突き蹴りを教えますが、子供達にこの様な状況で、相手に立ち向かうなどの感覚を身につけさせてはいけません。
空手の教えを活かし困難があれば立ち向かい、乗り越える場面は他にあります。
武道を学ぶ者の一番は身を守る事です。
どんな状況になれども生き残る事です。
こんな究極の事を子供に教えなくても良い世の中が一番ですが、残念な事に現実でもあります。
極真空手は試合を目指し勝つための努力をする事で大きな物が掴めます。
それと同時に武道としての稽古を通して、正しい物の見方、考え方を身に付けていく必要があります。
生涯通して危険に遭遇した事が無い!怖い目にあった事が無い!が空手を修行する人にとって一番の成果だと思います。
押忍。
✏️師範杉村。