2020.10.15木曜日
ある日の出来事から。
17時30分から少年部稽古開始。
約30分前から子供達がやってきます。
一番乗りは茶帯の先輩。
立礼をし道場に入り、手洗いを済ませると直ぐにある所へ。
空手バカ一代の置いてある棚へ一直線です。
暫くこんな事が続いています。
道場に置いてある漫画本はこれだけ。
後はワールド空手だけです。
普段なら稽古が始まるまでは自主稽古をさせますが、空手バカ一代を読むのはある意味稽古⁉︎です。
空手バカ一代の文庫版は全17巻です。
どこまで読み終えているのかと。
こそっと覗いてみました。16巻の第五回全日本大会の山崎照朝選手の試合シーンです。
「どうだい?」尋ねると。
「押忍凄いです」との返事。
山崎照朝先生は極真会館が1969年に開催した第一回全日本大会のチャンピオンで、私の稽古していた本部道場の大先輩です。
明日のジョーの力石徹のモデルになった方です。9月に発売された空手、格闘家の関係者のみならず、梶原一騎先生の劇画ファンや漫画界からも注目の一冊です。
もちろん私も読みました。
同じ道場の出身とはいえ、山崎先生は随分昔に極真を離れられていますので接点が無く、全日本大会や世界大会の会場で2、3度声を掛けて頂いた程度でした。
いずれはお話をお聞きしたいと想っていたところ、念願叶い御食事をご一緒させて頂く機会に恵まれました。
右が山崎照朝先生、左は山崎先生の先輩で伝説の藤平昭雄(大沢昇)先生です。藤平先生のお話はまたの機会に記します。
本部の偉大な先輩はとてもクールでカッコ良く空手バカ一代に描かれたまま、そして明日のジョーの力石徹そのままの雰囲気です。
この様な機会はまたと無いと思い、大山倍達総裁の事、第一回全日本大会の事などをお聞きしたところ、次から次へと貴重なお話をして下さいました。
空手バカ一代で憧れた方々の逸話は永遠に聞いていたい内容でしたが、あっという間に三時間近くが経ち夢のような時間は過ぎてしまいました。
全て心に残るお話でしたが、山崎先生の極真に対する気持ちを現す「俺は大山館長の為、極真の為に戦ったんだ」との言葉を聞いた時はグッときました。
時代が違い、私とは次元も違いますが、大山倍達総裁の強さ、極真の強さに憧れ、先輩方も同じ思いを持って戦っておられたのだと知り感動しました。
この日は伝説の先輩お二人の間に座らせて頂き緊張しましたが、こんな幸せな時間はありませんでした。
話は道場へ戻ります。
私が少年部の頃、空手バカ一代を見て憧れていた先輩方を、私の弟子の少年部が同じ様に見て憧れを抱く。
とても嬉しく思います。
そしてつくづく思う事は道場を構え、お弟子さんを持ち指導するのは、極真の歴史を紡いでいく事なのだと。
道場で稽古している全ての人が誇りを持って極真空手の修行に邁進できるように、私も勉強し沢山の事を知り、持てる全てを伝えていきたいです。
道場生の皆さん共に稽古して行きましょう。
押忍。
✏️師範杉村。